Plants and people.

先週の日曜日の事、杖をついた80代くらいの品の良いおばあさんがご来店。

お店のとなりの整骨院に通うたびにうちのお店が気になっていたそうな。ひと通り植物を見てから「すごく頼みずらい事なんだけど聞いて下さるかしら。。」と口を開きました。

依頼の要件は40年ほど前から育てているモンステラを植え替えて元気に仕立て直してほしいとのこと。10年前までは大きくなったモンステラを切り戻しては増やしたり、大きな鉢もなんとか管理ができていたのだけれど、さすがに足腰も弱くなってきて自分一人ではできない。ご主人は随分前に他界され、息子さんは東京在住。さらに2年ほど前に転倒した際に大腿骨を骨折してしまい、自分の寿命とともにモンステラも弱っていくしかないと思っていたのだそう。

ちょうど1年前にPlainが開店したころに退院され、整骨院に通いながらずっと植え替えを頼めないかと案じていたらしい。

そんな話を放っておく訳がない。お家もすぐ近所だとおっしゃるのでそのまま下調べに伺うことに。

Plainの周辺は室町時代に栄えた大内氏の館があり、そこに仕える氏族なんかが多かったためか現在でも主要な通り沿いには大きなお屋敷が立ち並ぶ。要するに「いいとこ」なわけで、おばあさんのお宅も立派な門をくぐりお庭を通ってみたいな大きなお屋敷でした。

リビングへと進むと大きなモンステラとご対面。気根とよばれる茎の途中から出るひげ根が伸びまくってジャングル状態の鉢が4鉢。どれも大きな火鉢に植えられていて、なるほどこれじゃ動かすこともできない。10年も植え替えていないので、当然根詰まりを起こしていて葉数も少なく、どれも元気がない。春の新芽も出ていなくて、正直どうなるかわからないけどとにかく40年も生きたこのモンステラを復活させたいと僕自身も強く思いました。

見積もりをして、1週間後にオペを決定しました。すると前日におばあさんが再来店。足が悪いのにも関わらず歩いてやってきて「あのモンステラに新芽が出たのよ!しかも2鉢も!」と嬉しそうに。「えー!まだなんもしてないのにー!?」とぼくもびっくり。

それって実はすごいこと。10年も植え替えていない植物が、春の新芽も出さずに弱っていたのに突然新芽を出したんだから。おばあさんはどうしようもないモンステラの世話をしながらきっといつも落胆していたのでしょう。「かわいそうに、でもわたしじゃなんにもしてあげれない」って。だけど僕がモンステラに会いにいって、「植え替えてあげましょう!」っておばあさんと盛り上がってるのを彼らはちゃんと感じ取っているんです。おばあさんもそれからは笑顔で接したでしょうからね。

ぼくはお店で植物を売るとき、植物への接し方を口うるさく話します。「植物は生きていて、人間の感情をちゃんと受け取るんだ!」と。たぶんもううざったく感じてる人もいるんでしょうけど 笑  でもまさに今回のモンステラがそれを顕著に現してくれました。いや、ほんとに感動です。

翌日3人がかりでオペを決行。決して植え替えの適期ではないので、根詰まりした根を傷つけないように優しく掘り起し、古い根だけを整理して新しいふっかふかの用土で植え替え。すっきりしてて直して見るからに元気そうなモンステラを見て、「長年の思いが叶ったー!」とおばあさんも元気になっちゃった。

おしまい。

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